老健は、正式名称は介護老人保健施設といいます。高齢者の自立を支援し、在宅への復帰を目指すために、日常的な医療行為や看護・介護ケアはもとより、リハビリテーションや身近なお世話まで提供する施設です。
特養は、正式名称は介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)といいます。医療行為がなく、在宅での生活が困難な高齢者の生活の場として位置付けられる施設です。
病院は、20床以上のベッドを置き、疾病や疾患を治療するところです。(医療法)
老健は、病院を退院しても日常的な医療を必要とし、在宅に戻れない場合に在宅に復帰することを目的として入所するところです。(介護保険法)
つまり、老健は利用者が住み慣れた地域でその人らしく生活できるように支援する場ということです。
毎日の生活が生き生きとしたものであるために、老健では1日のリズムを大切にします。起床後身支度し、食堂での食事、トイレでの排泄を促します。食事も含めて1日中過ごす場所が「ベッド」ではありません。在宅復帰を目指す施設だからこそ、利用者も「目標をもって動く」それが老健です。
老健では、様々な職種が利用者に応じた目標と支援計画を立て、日常生活動作能力の回復訓練や離床期や歩行期にリハビリテーションを提供し、身の回りのことができるように援助します。そのほかに、幅広い教養・趣味活動で明るく楽しい生活を提供し、出来る限りの自立支援をサポートすることを基本としています。
老健では、医師、看護師、介護士、理学療法士、管理栄養士、介護支援専門員、支援相談員などの多職種の専門スタッフが、あらゆる視点から利用者の状態や変化を見守ることが基本となります。そのためにスタッフが1つのチームとして、「利用者さんが今日よりも明日、明日よりも明後日と、少しずつ元気に良くなっていただく」という同じ目標を持っています。
入所した方への介護サービス以外にも、日常の介護疲れや、冠婚葬祭などの理由で一時介護が出来なくなった場合に、家族の方に代わってお世話をする短期入所療養介護(ショートケア)、家庭から通いながら、楽しい雰囲気の中で健康の維持増進を図るとともに、家族の介護負担が少しでも軽減する目的のための通所リハビリテーションも実施しています。
老健には、理念と役割というしっかりとした憲法のようなものがあります。
その前文には、「介護老人保健施設は、利用者の尊厳を守り、安全に配慮しながら、生活機能の維持・向上をめざし総合的に援助します。また、家族や地域の人びと・機関と協力し、安心して自立した在宅生活が続けられるように支援します。」とあります。
A.包括ケアサービス施設、B.リハビリテーション施設、C.在宅復帰施設、D.在宅生活支援施設、E.地域に根ざした施設としての役割をしっかり果たしていくことが目標です。